…………ん?
ちょっと待って。
じゃあ、なんで若宮先生はあの時泣いてたの?



彼氏の友達の家に押しかけてまで泣くなんて、おかしくない?



ああ、そうか……
若宮先生、彼氏の友達である耀太を好きになっちゃったんだ。



それなのに耀太は
『同僚以上の気持ちはない』
って、断った。






「若宮先生、苦しい選択を迫られてるんだね……」





彼氏か、それとも、好きになってしまった耀太か。
どちらを追いかける、か……





「まあな……
どっちかって言うと、ツレの方が迫られてる気もするけど」





「そうだね、お互い苦しいよね。
愛情か、友情か……」



「ちげぇよ。
愛情か、研究か、だ」





…………ムッ





「なに今さら話をはぐらかそうとしてんの?
その人は、若宮先生が好きだけど、友達の耀太のことも嫌いになれないんでしょう?
板挟み、なんだね。可哀相」





耀太は好きになられた方だから、その気持ちがわかんないんだよ。



あたしだって、『ようちゃん好き!』って言ってる友達を見ると、すんごい切なくなるんだから……





不覚にもじわじわ浮いてきた涙で視界がぼやける。





こんな話、やっぱり聞くんじゃなかった、と後悔しながら、あたしが両手で顔を隠そうとすると、





「ちょっと待て!
お前、なんか勘違いしてねぇ?」





と、慌てた様子で飛び起きた耀太の手が伸びてきて、顔を覆う前にガシッと手首を掴まれてしまった。





…………なっ…!?





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