担当は国語なのに、こよなくジャージを愛用し、時には体育教官より熱血になる短髪の中田先生が、同じくジャージを愛用してる耀太に、闘争心をメラメラ燃やす様子が目に浮かんで、あたしもゲラゲラ笑った。





2人でひとしきり大笑いして、共通の話題で笑えるってなんかいいなぁ、なんてあたしがしみじみ思っていると、





「しかたねぇな。今日はカンタに付き合って、ちょっとダッシュでもしてみるか……」





と、今日はジャージ姿じゃない耀太が、突然横からリードを取り上げるなり、カンタと一緒にダダッーと走って行ってしまった。





って、おい。
もしも〜し、いきなりあたしは置いてけぼりですか〜???









それから持ってきてたボールやフリスビーでめいいっぱい遊んで、昼頃にはあたしと耀太はくったくたになっていた。






「マジで体いてぇぇ!腹へったぁぁ!」





ハァハァ肩で息をつきながら、芝生の上に大の字に転がる耀太。





「ふっふっふっ、いいものあるんだけど?」



「なに?なに?いいものってなに?」





あたしがわざともったいぶる言い方をすると、ガバッと起き上った耀太はランランと目を輝かせている。




ぷくく…昔っから耀太は“いいもの”って言葉に弱いんだよね……






「車の鍵貸してくれる?取ってきてあげるからさ……」





ここまで言うと何か思いついたのか、耀太の顔にみるみるにぱぁと笑顔が浮んだ。
まるで小学生だ。





「もしかして……弁当??
なあなあ、楓ちゃ〜ん、教えてくれよう」



「耀太の想像通り、お弁当だよ。だから早く鍵貸して」






そう、あたしは今日は早起きしてお弁当を作ってきたんだ。
あの大荷物の正体は、ズバリ三段重のお弁当箱。






ちょっと作り過ぎた気もしないでもないけど、こういう場所だといつも以上に食べちゃうもんだよ、人って。






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