そしてあたしが返事をする間もなく、勝手に開くドア。





「よおっ!」






すき間から顔を覗かせたのは、プチ変装中の、キャップを目深にかぶった耀太だった。





んげっ!?
今一番会いたくないのに……





「弁当、ありがとな」






「う、うん……」






赤い目を隠したくて、あたしはわざとアルバムを食い入るように見つめる。



鼻声なのはごまかしようがないけどさ。





「……あのさ…」






「なにっ?」






早く出て行ってくんないかな……






「お前、なんか誤解してない?
というか、さっきアパートまで来てただろ?」





探るような耀太の口調が、さらにあたしを冷めた口調にした。






「あぁ、うん。別に言い触らさないから、安心してよ。
それより、早く帰ってあげたら?家で待ってるんでしょ?……その…」






若宮先生、とは続けたくなくて、代わりに大きなため息を吐き出したのに、それに被せるようにさらに大きなため息をつきながら、耀太は部屋へと入ってくる。






「やっぱりお前、見たんだな?」






「だからっ…、安心してって言ってるで…しょ……っ!?」





いつの間にか、あたしが顔を上げたすぐそこに、耀太の怒ったような、呆れたような顔があった。





ちょっ…ちょっとぉ…!






`