そうそう、あたし来月から瑞穂と一緒に予備校に通うことにしたんだ。






“家庭でも教師”のはずだった耀太が、二者面談辺りからものすごく忙しくなったらしくて。
週末以外は、家に来ることさえ困難な状況だから。





3年の担任なんだから、仕方ない話だよね。
進路相談やら、保護者へのフォローやら、資料集めやら、受験対策の課外の準備やら。




これでようやく5組も受験モードに突入したって感じだな、なんて耀太は笑ってたけど、その顔、思いっきりクマできちゃってるよ?





そんなの見てたらさ、言えないじゃん。
『勉強教えて』なんて。





それに……





ダメなんだよ、あたしが。



あの匂い攻撃に毎回クラクラしちゃって。



それに加えてタッチ攻撃とか、吐息攻撃とか。
別に耀太は意味なくしてるんだろうけど……





もうこっちは
ドッキドキ
バックバク
勉強どころじゃない、みたいな。





余裕、余裕、なんて思ってた自分が、恨めしい。






もうここまでくると、認めざるを得ないというか、なんというか……






あたし





耀太のこと





今でも





好き、かも。







めちゃくちゃ不本意だけど、





瑞穂の思い通りになったっぽい。





…………チッ
(なぜに舌打ち?)





`