「な、なんて言いましたっけ?」





あたしはつつつーっと体を微妙に離しながら、わざと明るい生徒口調で尋ねた。
こうでもしなきゃ、心臓の音をごまかせそうもないから。





質問を質問で返したのは、実はマジ。





それというのも、あたしは今だに耀太のHRが苦手で、あまり見ないようにしてるから、話を聞きそびれることもしばしばで。
本気の質問返し、だったりする。




授業は“博士と助手遊び”の延長みたいで聞けるんだけど、HRは………はっきり言って、照れ臭い。




こと真剣な話とかになると、特にダメ。
もう走って逃げたくなるくらい。




だから、進路の話とかになると、外を見て気を紛らわせてることが多いんだよね。






「ったく、いつも外ばっかり見てるからだろ?」





やれやれって感じでため息をついた耀太の大きな手が、不意にあたしの頭をくしゃくしゃに撫でまわした。






――――――キュンッ






………って、おいっ!
冗談止めてよ。
なに勝手にときめいてんの?
こんなの、まるであたしが耀太を好きみたいじゃないの〜っ!!






と、自分の胸にツッコミつつ、でも体はあたしの意思に関係なく、どんどん変調をきたしていく。






心臓はバックバク。




顔はきっと真っ赤っ赤。




手なんて小刻みに震えちゃってる。





加えて、よく考えたらこの部屋に2人っきりじゃん!って当たり前なことまで意識しちゃったりして……





どんどん深みにはまっていってるのが、自分でもよくわかる。







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