しばらく目を閉じて考える素振りを見せた耀太は、やがて適切な答えを見つけたかのように、ゆっくりとまた目を開けた。






ゴクリ−−






「楓が受かりそうな大学を探すには、丸三日は徹夜を覚悟しなきゃいけない、ってとこでしょうか……」






?????





…………んとぉ

それって、遠回しに
あたしが受かる大学がないって言いたいのかな〜?




って!






「「ええ〜〜〜!?!」」






あたしと母親の絶叫が、見事にハウリングする。






自分でも薄々感じてはいたけどさ、なにもそこまで言わなくてもいいんじゃない!?
日本中探せばあるでしょ、探せば……






「ちょっとようちゃん!
それはこのバカ娘が、大学進学は無理だって言ってるの!?」






あっ、ひどっ!
またバカって言ってるし。






「はははっ、だって正直に言えっておばさんが…」






眉を下げて苦笑する耀太を見上げた母親は、数回瞬きを繰り返したあと、この話がどうやら冗談ではないと悟ったらしかった。



がっくり肩を落とし、フラフラと流し台へと向って行く。
そして「あたしの娘はニート…」と、まるで呪文のように唱えている、その小さな背中。






“フリーター”ではなく“ニート”





しかも勝手に就職っていうもうひとつの可能性さえ捨ててるあたり、さすが我が母。





あたしの性格をよくわかってらっしゃる。







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