いかにもマズイって顔をしたあたしに向かって、あからさまに大きなため息をこぼしたかと思ったら、






「ようちゃん、この際、正直に言ってくれる?」





プリントに一瞬目を通した後、母親は真剣な眼差しで耀太を見つめた。





な、なんか、お母様、キャラ変わってないっすか………?





あたしはドアにぴったり背中を寄せて、目の前で対峙してる2人を交互に見やる。





この雰囲気って、まるでそう、三者面談中の教師と保護者と生徒のよう。
一瞬の隙を付いて訪れる、あの気まず〜い沈黙の時、みたいな?





うわわわわ……
こっから、逃げた〜い!!!






そう思っても、後ろにはドア、前には笑顔の消えた母親。
はっきり言って、逃げ場がない。





っつうか、なんであたしばっかり突然三者面談なのよぉ!!






その気まずい沈黙を破ったのは、やはり母親だった。






「楓は………」





ドッキン ドッキン






「どのくらい、バカなの?」







…………はっ??





「えっと、そうですねぇ……」






って、待て待て。
なぜに『バカ』が基準?
そこは『学力』じゃないの!?


しかもそれに平然と答えようとしてるアンタ!
一応、教師でしょう?
教師なら教師らしく、『お子さんの前でその言い方はちょっと…』とかなんとか言いなさいよー!




なんて心の中で愚痴りながらも、実際に声には出せない。
出せる雰囲気じゃない。





いつもと違って、母親の目が本気(マジ)だから。





なんかお母ちゃん、マジで怖いよぉぉぉ!!!







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