化け物は、薄気味悪い大きな牙を、ちらつかせ、ニヤニヤしていた。 『もう遅かったな』 そう、大きな口を動かすと、不気味な笑い声と共に、夜の闇に消えていった。 何なの? あれ。 「お兄ちゃん? 大丈夫?」 私は立っているお兄ちゃんに、そっと触れた。 ――――ボロボロボロボロ お兄ちゃんは私の目の前で、灰となって、崩れ落ちた。 「イヤァァァァァァアアア!」 私の悲鳴は、夜の闇に消えていった。