【8年前】









それは、私が八歳のとき。









「水樹!」






私の後ろから、大好きなお兄ちゃんの声がした。






「なぁに?」






「赤い薔薇のアザが、浮かんだ!」







「ば、ら?」






そういって、お兄ちゃんは右手のアザを見せてくれた。






そのアザは、うっとりする程、綺麗な赤色だった。