「嫌いでも、構わないよ……」
私は拳を一層強く握って、レオンをみた。
レオンは、切なそうな表情をしていた。
「構わないなら、なんで泣いてるの?」
レオンは私の目の前で、足をとめた。
「泣いてなんか……ッ!」
泣かない……泣かないよッッ!
だって泣いたら、レオンを困らせちゃうじゃん。
同情で〝好き〟なんて言ってほしくないんだもん。
「泣いてな――――」
「ばか……水樹ッッ」
ギュッと抱きしめられた。
レオンのいつものフルーツの香りがする。
レオンのいつもの温もりが私を包む。
もう、それだけで視界が滲んできた。
「レオ――――」
「泣くなよ」
レオンの声は、私の心に染み込んでいった。

