「寒い……」




あれからしばらくたったあと、いつの間にか声はでるようになっていた。




雪がふるなか、1人さまよう私。




家に帰りたくても、何故だか家への帰り道を思い出せない。



白いモヤがかかったように、なにも、そう、なにもわからなくなる。



怖くなって、自分の手のひらを見た。




さっきまで、お母さんに握られていた右手……




「温かいのに、なぁ……」



私はまだ温もりの残る右手を頬によせて、





泣いた。







泣くのは弱いから、なんて思ってたのに、いま、涙が止まらないのは、






あたしが弱い所為なのだろうか。