「はぁー乗ったねー!結構ジェットコースターくるわ(笑)疲れた」

「いや、あたしももうクタクタ…」



一通り乗り終え、ベンチに座り二人でコーヒーを啜った。


「あのー…西園寺さん…」

「ん??」


唾をゴクリと飲む。


「見ましたか??週刊誌…」


それを聞いた西園寺は少し寂しそうな顔をした。


「うん…ゴメンね。俺撮られてるって気付かなくて。もっと配慮すべきだった」

「いや、そういう事じゃなくって…あたしは本当に全然大丈夫でした。名前も顔も出てないし。でも西園寺さんが困ったんじゃないですか??あんな大々的に…」

「俺はいいんだ」


彼の即答に一瞬ひるんでしまった。


「え??」

「俺は葉月となら撮られても良いって覚悟してるから。今日だって構わないからこうやって隠れてない。でも葉月が嫌な気持ちになるんなら、もう外では会わないよ」


さっきまでの笑った顔が、いつの間にか真剣な目付きへと変わった。


二重で切れ長な目に皺を寄せ、少しだけその綺麗な顔を近付けてきた。


「葉月は俺と撮られるの、嫌??」


(嫌??って…)


曖昧な返事は要らない。
はっきり言ってほしい。

その目はそう語っていた。




「嫌じゃない…です」





あたしは自分で自分の言葉に驚いた。


でも、

自分はあたしと撮られることを覚悟したんだという西園寺の言葉が、

目が、


どうしようもなく

どうしようもなく





愛しいと思った。