「あ!??」

『ちょっとそこで待ってて』


そう言って電話をきると、向かいホームの西園寺は階段を降りて行った。


そして少し経つと、あたしのいるホームへとやってきた。


「こんにちは」


この間のようなスーツではなく、首もとが大きく開いた薄手のグレイのTシャツに、ダメージジーンズを履き、ニットの帽子を被っている。

そして、黒ぶち眼鏡を掛けていた。



「こんにちは…」

「もしかして今日、入社式だった??」

「は、はい。今帰りで。西園寺さんはどうしてここに??」

「ちょっと野暮用で。この格好変かな??」

「いいえ!!へ…変装ですか??」


あたしは周りに聞かれないよう小声で言った。



「はは笑まぁね。これから暇??」

「え…はい」

「じゃぁ葉月、俺をどっかに連れてって」

「はい!?」

「いいじゃん。どこでもいいからさ」

「……どこでもって」



しどろもどろするあたしを尻目に、鼻歌まじりで西園寺は言う。


「俺、遊園地に行きたい」