「え!??」

「大丈夫」

西園寺は軽々とあたしをお姫様だっこしたのだ。

「ちょっ、重いですよ!降ろして下さい!!」

「……」

そのままホテルまで入っていく。

驚いたことにホテルマンの通り過ぎる人すべてが、[お疲れ様です]と声を掛けてくるのだ。

しかも、西園寺の後を5人くらいの側近だかSPだかがついてくる。


顔から火が出そうなほどの恥ずかしさと、まるでドラマみたいな展開に、頭がついていかない。

ロビーの座ったことなんて無かったふかふかなソファーにあたしを降ろす。

「あ、りがとうございます」

西園寺はついてきていたSPに何か声を掛け、そしてあたしの目の前に立膝をつく。

そしてあたしの足を手にとり靴を脱がして、その靴ずれで皮がむけている足に、優しく触れた。

「おれがいきなり誘ったばっかりに…」

「ちっ…違うんです!これ、その、ヒールあんまり好きじゃなくって、いいの全然持ってなくって…」

「痛いですよね。ごめんね」

言った後あたしは顔をじっと見つめられる。

「…\\\!!??」

顔が赤らんでいくのが分かった。

驚いて目をそらした。

「少し待ってて下さいね」

「…はい」



…ドクドク


…ドクドク


…ドクドク



待っている間中、心臓の暴走は止まらなかった。