驚いて、抜けた部分をくっつけたりしてみる。

でももちろんくっつくことはなく、見るも無残な状態に。

(どうしよう!!もうホテル目の前なのに!!?)

その時、

「野崎さん?」

振り向くと高級そうな黒のタキシードを着た彼の姿。

「さささ西園寺さん!!」

「こんばんは」

「あ!?あ、あの…こここんばんは」

「どうしたんですか?」

地べたに座り込んだあたしに西園寺は手を差し伸べた。

「す、すみません」

その手をとり、立ち上がる。

かかとの無いヒールを足の後ろに隠した。

「あの…その…」

(最悪だ…死にたい…)

すると西園寺は何も言わずにしゃがみこんだ。

靴を見ているようだ。

(ば…ばれた)

でも西園寺は何も言わずに立ち上がり、小さくほほ笑んだ。

そして次の瞬間―――