≪まもなく二番線の電車が到着します、黄色い線の内側まで下がってお待ちください≫

アナウンスが流れるホームで、あたしはかかとに変な違和感を感じた。

でも電車が着いてしまってたので、気にせず中に入った。

通勤ラッシュで車内はサラリーマンなどで混んでいた。

(あたしももうすぐこの人たちと同じように大人になるんだ)

そんなことを頭の中で考える。

不安が無いって言えばウソになるが、嫌だとは不思議と思わなかった。

30分後、駅に到着。

改札を出て、歩き出した時―――

―――グギッ

世界が崩れた。

…んではなく、あたしは崩れた。

転んだのだ。

「え!?」

足元を見ると、違和感の正体が。

(ヒールが!??)

ヒールのかかとが抜けてしまっていた。

(うっ…嘘!?)