車の中では放心状態だった。

ほんの数分前のことなのに、記憶があいまいで何を話していたのか思い出せない。

「あのーここですよね?着きましたけどー」

「……」

「すみません」

「え、あ!?はいここ、ここです!ありがとうございました!」

部屋に帰ると真衣と龍がいた。

「あ、おかえりー」

「邪魔してま~す、葉月久しぶり」

「……」

声を掛けられても、無言で部屋に戻る。

「え、何無視されたよ?」

「なんかあったのかな?」


――バタンッ

扉を閉めてゆっくり考える。

(待って待って待って待って)


何された?
あの人なんて言った?


≪じゃぁ7時にこの下で待ち合わせますか≫



はははい?




「いやーーーーーぁぁぁ!!!!!!」