その頃、すっかり患者のいなくなった外科診察室では、看護婦の村松祐子が、一枚の封筒を持って、佐藤のもとを尋ねていた。


「佐藤先生、今お時間よろしいですか?」

佐藤は事務仕事をとめ、顔をあげる。

「あぁ、村松君か。なんだい?」

佐藤はいつもの笑顔で村松に問いかける。

「先日の検査の結果なんですが。」
と言いながら封筒の中の紙を出して机に広げる。

「うん。数値的には問題ないね。ここのところ順調だしね。」