文化祭も無事に終わり、いつもの日常がやってくる。

先日の騒々しさが嘘であるかのように、キャンパス内も深い秋に包まれる。

木々はその葉を黄色や赤色に変えようとしている。

授業を終えた早苗は、いつもの大学病院に向かう。

毎週通っている大学病院だが、佐藤との関係は相変わらずだ。

だがしかし、あの日以来、二人きりでは会っていない。

もちろん好きという気持ちに変化はない。

変わらないけれど、会えば会うほど彼に恋い焦がれ、早苗自身の心を傷つけるのだ。

分かってはいるのだが、諦めるのは辛いのだ。