『あなたは一人なのよ。今までも、これからもずっと。』
だから強くなりなさい。孤独に耐えられる強さを身につけなさいと、もう一人の自分に言われる。

自分に言い聞かせる。


分かっていたんだ。



光一とのセックスは麻薬。


あまりにも幸せで何度も交わりたくなるけれども、
その後にくるのは、絶望と自分に深く刻まれる傷であるということに。

そして、『ひとり』という現実。


しっかりしなくては、と思う。

なんとか涙をこらえ、ハンカチで抑える。

酷くふらつくが、歩かなくてはいけない。

弱々しくても、前に進まなくてはいけない。

早苗が歩き始めた時、夜空には半分の月が輝いていた。