診察室を出た早苗は、会計、薬の受領を済ませ、大学へと向かう。

途中、公衆電話を使い母に何事もなかったことをベルで知らせた。

都内有数の名門校にして、ミッション系の大学である早苗の母校は、そのキャンパスの雰囲気から、よくドラマ等のロケハンでも使われる。

吉田早苗は、観光学部に通う大学2年生だ。
 
 大学では、経営学の他、ホテルでの接客サービスの実務、加えて現役ホテルマンからの指導を受けることが出来、将来ホテリアを目指す早苗にとって、この上ない環境であった。