が、刹那、佐藤の視線が何かを見つめていることを悟る。

古い写真立てに入れられたそれは、かつての佐藤とその妻だった女性の写真だ。

妻『だった』のである。

早苗がまだ小さな頃、何度か会った事のある女性だ。

しばらく会わなくなった後、佐藤にその事を尋ねたところ、

「あの人はね、お星様になったんだよ。」

と寂しそうに笑った。

小さいながら、その言わんとすることが分からない早苗ではない。

「そっか。じゃあ夜になればいつでも会えるね。」

と早苗が懸命に言う。私のパパとママと同じだね…と。