「一年ぶりにまた帰って来たよ。お母さん。」

と墓前に早苗は手を合わせる。

毎年ここに帰ってくる。

仕事で忙しい叔父と叔母だが、この時期には決まってお墓参りにきているのだ。

少しずつ墓石の色は褪せてくる。

綺麗にお墓の周りを掃除し、柄杓の水をかける。

確実に時間は流れているのだ。

私もそろそろ前を向かなくては。と思う。

もう一度手を合わせる。

「また来るね。」

と母に告げる。

『いってらっしゃい。』

ママの声がする。