沈黙が続く。


先に口を開いたのは、一貴だった。

「星、綺麗だな。」

遠くを見つめながらボソッと呟く。

「そだね。新月だから今日はよく見えるみたい。」

早苗は、とても自然に穏やかな表情をする。

「私ね、星を見上げるのが嫌いだったんだ。」

早苗は言う。やはり、とても自然に。

へ~。と言いながら一貴は早苗を見つめる。

「小さい頃さ、よく母と一緒にお星様を見てね…」
と言いながら、目線はキョロキョロしている。

「ほら、あれ。」

言いながら指した方向は、オリオン座の三つ星だ。

「オリオン座?」

それがどうしたと言わんばかりに一貴は言う。