退院を翌日に控えた早苗は、夜空に輝く星々を眺めていた。

今日は新月ということもあってか、綺麗に星が見える。


『そうだ。私はここから始めればいいんだ。』

早苗は決意した。

ふっと人の気配を感じて振り返る。

立っていたのは、一貴だった。

「よっ!」

言いながら病室内に入ってくる。

早苗は突然の訪問者に少しビックリしたが、

「もう面会時間、過ぎてるんですけど?」
と、いたずらに笑みを浮かべる。

まぁまぁ、そんな固い事言わずに…と言いながら一貴は早苗に近づく。

口角を上げて笑いながら、再び窓の外に視線を向ける。
一貴は早苗の隣りに立ち、同じように星を眺める。