早苗は急に視界が開けた気がした。


モノクロの世界が急に色味を帯びたかのように感じた。


『私にだってきっと出来るはず』そう心の中に誓った。

もう後ろ向きにはなるまい。と。私は未来に生きるのだ。変えられない過去ではなく。

窓を開けた。

ちょっと冷えた空気も温かく早苗を包み込んでくれている気がした。

「よーーーーーし!がんばるぞーーーーーー!」

早苗は大声で叫んだ。

村松は別の病室にいた。ふっと聞こえたその声に頬を緩め、にっこり笑ったのだった。