セレブリティー・ラヴ

「ここ、一度来てみたかったんです。」

私は噴水の水をそっと、すくいました。

「来たことなかったの??」

「はい。雑誌とかでしか見たことなくて…。
おかしいですよね、父や兄の会社なのに。」

私が笑うと、先輩も笑ってくれました。

「そんなことないよ。
ここは有名な人もたくさん来る。
表舞台に姿を表したくなかった君ならば、当然の事だよ。」

「でも…」

「俺だって親の会社の事、あまり知らない。」

先輩の言葉や笑顔で、安心してしまう、私。

今日のパーティーで、無知を思い知らされ、本当は気持ちが沈んでいたのに。

「徹先輩は…魔法使いのような人ですね。」

「─…え?」

「先輩は人を安心させるのがお上手です。」


私が笑うと、先輩は私に腕を回し…

軽く、口づけました。