「───…新入生代表、織原小豆。」

不思議なことに、マイクの前では緊張はなくなってしまい、私は何とかスピーチを終えました。


「あじゃ〜」

ステージ裏までくると私は安心して座り込んでしまいました。


一年生に指示をしている先生の声を遠くに聞きながら私が、ぼーっとしていると前に男子生徒さんが来ました。


「織原…さん??」

「ぁ、生徒会長さん…。」
見上げると、生徒会長さんが私を見てニコッと笑っいました。

「お疲れ様。
一年生は教室に誘導されてるから君も行った方がいいよ。」

差しのべられた手を取って立ち上がる、私。

「ありがとうございます。

ぇえっと…ぁ、の…教室、分からないです。」

下を向く私に、彼は優しく言ってくれました。

「なら、俺が案内するよ。」


生徒会長さんから学校の事とか、先生の事とか聞きながら教室の前まで来ました。

「ぇへッ。
本当にありがとうございました、生徒会長さん!」

私がペコリとお辞儀すると、会長さんはクスリと笑っいました。


──…カッコイイなぁ…。


つい、見とれてしまった私。

「生徒会長、じゃなくて、香坂徹。
君には是非、そっちで覚えてほしいな。」

そう言って、香坂先輩は少しだけ頬を染めて視線をそらします。

「じゃ、香坂先輩。
失礼しますッ。」


私は先輩にそう言って教室に入っていきました。