──金曜日


あれから葉月に集合場所と時間を教えてもらって、ついに明日が約束の日。

今は6限目の最中だけど、前に座る葉月は上の空のようだ。

(…あ、先生こっち見た。)

先生もそれに気づいたようで、片眉がぴくりと動いた。
じーっと葉月を見る先生。
周りもだんだん気付きはじめる。

"葉月!先生見てるよ。"

椅子を軽く蹴りながら、小声で葉月に教えるが、なかなか気付かない。

"葉月ってばー!"

「大倉ー」

とうとう先生が名前を呼び出した。

"葉月!先生呼んでるよっ"

足に加え、ペンで背中をつついてみた。

「大倉ー、大倉葉月ー!」