キューピットは求人誌!?



「…父と母は、凄く仲が良くてさ。
ロゴスの服だって二人でデザインしていたんだ」


ぽつぽつと紡がれる言葉は、其れ自身が切なさを帯びていて、耳を伝って私の心を侵す。


佐伯くんの表情は、やはり辛そうで儚くて、私は先を話そうとするのを止めようと口を開く。


けれど、このまま佐伯くんが胸の奥底にこの思いを留めたままなのも酷な気がして開いた口を閉ざす。


聞いて欲しいのだ、目の前の人は。


「母さんが死んでから、父さんのデザインは変わった。
荒々しくて…何かに取り憑かれた様に描き続ける」


私の父と同じだ、と思った。


母を亡くした痛手から、方向は違えども何かにすがりつかなければ生きていけない。


弱くて、小さい…。