「これから金欠になるって?」
「いや。俺家出してきたから」
「は?」
「家出したから仕送りは勿論のこと、学費以外は全部自分持ち」
馬鹿みたいだよな、と微苦笑を浮かべる佐伯くん。
「じゃあ、どうして今は平気なの?」
当たり前の流れで私は訊いたのに、佐伯くんは急に口を噤んでしまった。
先を聞きたい欲求はあったが、相手のプライバシーに無断で立ち入ることはしたくないため、私は新たな会話を振った。
「それより、一緒に居た二人は?友達だよね…」
「ロゴスっていうブランド知ってるよな」
私の言葉に被せる形で佐伯くんが言葉を遮った。

