「ん?あぁ。そういえば教えてなかったな」
空を仰ぎながらぼんやりと言う男性。
「佐伯蓮っていうんだ。
…改まって言うと照れるな」
空に向かって名前を呟いた後、はにかんだ顔で私を見た。
そして、はたと気付いたように眉根を寄せた。
「俺も君の名前知らないんだけど」
増田さんの名前は?
そう後ろに続ける。
「あっごめん。増田理紅っていいます」
「理紅ね。うん、今覚えたから」
この、お互いに自己紹介、という光景が何故か小学生の時を連想させて私は自然と顔が綻ぶ。
私自己紹介のときは決まってしどろもどろになってたなぁ。

