再び壁にもたれかかった男性を真似て、私も隣にもたれかかる。
男性のさっきまでの笑いは既に引っ込んでいて、今は穏やかな空気が私達を取り囲んでいる。
「あー、笑い疲れた。腹いてぇ」
「それは私のせいじゃありません」
笑われた事を根に持っている私は、無愛想に答える。
「悪かったよ。謝るから」
両眉を垂れ下げて謝る男性を不覚にもかわいいと思ってしまった。
下手したらそこら辺の女の人より可愛いんじゃ…
というか、私この男性の名前も知らないのに、ここまで仲良くなるってどうなんだ?
「名前は何て言うんですか?」
思いたったら即行動、な私は男性に向き直って訊いた。

