二人して求人誌の両端を掴みながら言う。


「すいません。本当に今回は勘弁して下さい」

「いや、悪いんですが、俺もそういう訳には」


私が切実に頼み込むと、目の前の男性は
「俺の方がピンチだから」
と言わんばかりの視線で訴えてくる。


その間も、互いに決して力を弱めることは無い。


もう、かれこれこの会話が何回繰り返されたことか……