【短】Through バレンタイン




箱を閉める音がしたと思ったのも つかの間、そんなことを思う余裕もなくなっていた。



神楽の顔が近付いて来ていたからだ。





「ちょっ…神楽……っ」


「俺は待ったぞ」




距離にして、僅か5cm。


そんな距離で神楽が喋るから。


神楽の息が微かに、顔にかかる。




それにしても、神楽が言う、『待った』って…?





「『待った』って…何を…?」



「7年前の2月14日。その日から、俺はお前からチョコレートを貰うのをずっと待ってた」





え……?



それって……


どういうこと……?





「でも……でもっ!7年前のあの日。神楽は、待ち合わせ場所に来なかったんだよね?」



「行ったさ」