「たぶん…俺、蜜菜のこと好きなんだと思う。ただ、それを伝える気はないけどな。」





私にとっては衝撃的だった。
けど、なんとなく納得がいく。





「伝えないんだ?」



「断られるのはわかってるし、
実際、俺はまだ部長としてまだまだだから彼女とか言ってられない。」



「そっか…。」





亮太先輩のことを思い出した。

ずっとずっと好きで、スタンドから誰よりも大きな声で声援を送ってた。


そんな先輩に告白されたときには信じられなくて、しばらく固まってたっけ。



引退したばかりだけど…
また、亮太先輩に走ってほしい。





「亮太先輩のことでも
考えてんだろ、お前。
…今のは市村にしか話してないから言うなよ?じゃ、先に戻るから。」





健人はあきれ顔で
私にタオルを渡して行ってしまった。そんなところは紳士だよね。





私たちの代、初めての大会。

私は蜜菜ちゃんが入ってきてから初めて、自分に自信が持てそうな気がした。