言ってしまってから後悔した。



健人はわかりやすく
顔を歪めたから…。





選手をさらに追い込んだっぽい。

これじゃ、マネージャー失格よ。





「なんでそこで蜜菜なんだよ。」



…だって、健人は蜜菜ちゃんのことを気に入ってるからじゃんか。


まさかこんな気まずい空気になっちゃうなんて…。





「ごめん、健人。
悪気はなかったんだよ?」



言い訳がましいか。

それに、悪意のない分
質も悪いって感じだし。





「わかってる。
…ただ、イライラしてただけだから気にすんな。」



「うん。でもね、健人は大会前にペースを乱す選手じゃないのに…今回はすごく変だから心配だったの。」



「…ああ。」



「…なんてね、嘘。
健人がペースを乱さないことはよく知ってたけどね、今回の不調にいち早く気付いたのは蜜菜ちゃんなの。
言われて初めて気付いた。
健人が調子崩してること。…ただ蜜菜ちゃんに何か勝ちたくてズルしただけなの。」