選手ひとりひとりが風となり

真っ直ぐにゴールに向かう。





そこにペース配分とか
相手を牽制するとか…

そんな戦いはなかった。





1秒よりも短いタイムの競いあいは、見るものを圧倒させると思う。

後藤先輩は2位だった。



ヘラヘラしてるし

適当な性格してるのに…


そんなところはカッコいい。






―――……

さて、ついに…



涼ちゃんが走る時。





無駄に私も緊張しちゃう。




スタートラインの奥にいる涼ちゃんは、いつもと違って見える。

緊張してるのかな?

ユニホームのせいとか?

それとも…





「位置について…」



涼ちゃんは誰よりも頭を深くさげてから、スタブロに足をかけた。



「よーい…」





パァーン!!!