いつもなら、ここにみずき先輩がいるから退屈しない。今日はいないけれど。



でも、ひとりではない。





「ねえ、どこ怪我したの?」



怪我人がいる。





「足首。
別に平気だけど、今日は念のため休みます。」





1年の吉田拓馬くん。

私は拓馬って呼んでいる。
高跳びの選手さん。
なんだか謎キャラだけど、私は好きだったりする。





「そっかあ…お大事に。」





「うっす。マネージャーさんもお仕事頑張ってください。」





…いつまで経っても
拓馬は私に敬語を使う。





「ありがとう。拓馬、あんまり無理しないでね。」





そう言ったら、ペコっと頭を下げて腹筋を始めたからそっとしておいた。





暇を持て余していると



「一人だとお暇だね?」



と、2年生のあすか先輩が声をかけてくれた。





「ですね。」





あすか先輩は短距離選手。

かなり速い、とみずき先輩が自慢気に話してくれた。


天パはトレードマークなんだ、とも言っていた気がする。