「蜜菜!やっほー!」





私が戻ったことに、誰よりも早く気付いたさややが私のもとへ駆け寄ってきた。





「蜜菜、今日のメニューは?」



「アップもろもろのあとに50ダッシュ5本で、最後にエンドレスリレー30分だよ。で、補強で筋トレ。」






メニューを伝えると、さややはあからさまに嫌そうな顔を見せた。

…分かりやす。





「え、キツ!何?エンドレスとか!今日は跳躍用メニューないの?」



「ないみたい。跳躍も短距離扱いみたいだよ。」





さややは深いため息をついた。








仕方がない。

西高校の陸上部は驚くほどに扱いと設備が悪い。



跳躍は小さな砂場があるだけで、高跳びのマットやバーはない。投てきは論外。学校では練習出来ない。





「さやや、ファイト!」





しゃがみこんで落ち込んでいるさややにさらっと声をかけて、私は飯村部長にメニューを渡した。