だって、誰よりも陸上馬鹿で貪欲だもん。それのために誰よりも練習を頑張っているけれど。








「さあ、行こうか。」

「うん。」



智美に急かされて、ささっと荷物をまとめて練習場所へ向かった。

まだ、誰も来ていない。





「あ、私ちょっとメニューもらってくる。」



その日の練習メニューを顧問の先生にもらいに行くのはマネージャーの立派なお仕事だ。今日は、みずき先輩はお休みだから私が取りに行くんだ。





「いってらっしゃい。」





ちょっと、一緒に行くよ的な展開を期待したあたしが馬鹿だった。





ひとりで職員室に行って
顧問の齋藤先生から練習メニューを受け取る。





…今日は短距離の“ぱん”のお仕事しかないっぽい。

よくある。
お仕事のない日。
予告してくれれば、帰るのに。





「あ、もうすぐ大会だから今度申込書書いとけ。」



「はーい。あ、今日は?」



「まだ印刷してない。」





…そうですか。



「分かりました。今日もお願いします。失礼しました。」






メニューを持って戻ったら
ほとんど人が集まっていた。