───……

次の日、私と涼ちゃんは2人で部活を休んだ。



事情を知っている人たちから見たら、ただの初デートサボりでしかないんだろうな。





「…どこ行くの?」





涼ちゃんは、さっきから何も言わないで歩いていく。
それも、私がいつも利用しているバス停へと向かっているみたいに思われる。

涼ちゃんは電車通学だから、いつも反対方向から帰るのに。





「西駅周辺じゃ、誰が見てるか分からないし、高杉のほうまで出ようと思ってさ。」





涼ちゃんは、バス停に着いてからやっと教えてくれた。





「なるほどね。でも、いいの?
涼ちゃんはこっちじゃお金かかるじゃない。」



「向こうじゃ蜜菜の金かかるじゃん。俺がこっち周りしたほうが、蜜菜が電車で回るより安いし。」





本当に優しいよね。
さらっと、なんでもないみたいに話す涼ちゃんがステキなの。





高杉駅に着いて、私は地元の人ならではの隠れスポット的な場所へ涼ちゃんを案内した。

人もそんなに来ない場所。
地元ならでは、と言いながらも、実は地元の人もそんなに知らない場所なんだよね。





「高杉には来るけど、ここは知らなかったよ。」





と、涼ちゃんはキョロキョロと辺りを見回しながら言った。