―しばらくしてから
みずき先輩は“ぱん”を取り戻して私のもとへ戻ってきた。





「ごめん、蜜菜ちゃん。
これは習うより慣れろ!早速やってみましょう。ただ、打ち合わせればいいからね。」



初仕事だ。
ちょぴり緊張する。



「…頑張ります。」



みずき先輩から“ぱん”を受け取ってスタートラインで待つ短距離さんのところへ行く。


みずき先輩は長距離のラップを計るらしい。…ラップって何だ?今度教えてもらおう。





「適当な間隔で鳴らしてね。鳴らす前によーいって言ってくれる?」



「はいっ!」



「失敗してもいいから。初めてだしね。はい!短距離行きまーす。」



飯村部長が声をかけると、喋っていた短距離さんたちがスタンバイする。





優しいし、カッコいいし、
統率力もあって…なんて完璧な人だろう。





とか、余計なことを考えてしまった自分を戒めて初仕事に臨んだ。