「蒼先輩、あざっす。」



「ってことは、涼平にも走りを見せたい“誰か”がいるわけか。」





蒼先輩はニヤっと笑って練習に行ってしまった。



くそ、なんか負けた気分だ。





「よ-い」



パァン!



「よ-い」



パァン!





あ、短距離のインターバル練習が始まった。

俺はあんまり好きじゃない。



キツいし、足重くなるし、何より10本連続だし。



でも、佐藤がどこかで見てるんじゃないかと思ったら…頑張れた。





そういうことなのか?

って…それを認めたら
俺は佐藤をどう見てるんだ?





俺は、拓馬が佐藤に想いを寄せていることを知ってる。

聞いたわけじゃない…花火の時とか、水族館の時になんとなく思っただけ。



けど、間違ってるとは思わない。





別に、応援する、とか言ったわけじゃないけど…なんかなぁ。