「で、鈴木君とご飯食べたと。」
「うん。」
「その後は?」
「高杉駅まで電車乗ってくれて、そこでバイバイした。」
「へぇ。鈴木君て、意外と紳士的なところあるんだね。」
「…うん。優しいよ。」
私からすべて聞き出した智美は、なにやら考えこむように視線をななめに落とした。
今度は何を言うのだろうか。
「蜜菜、頑張って。」
「あ、うん。頑張るよ。」
何を言われるのか、と構えていたから…ちょっと拍子抜け。
「私は…陸上に命かけてきたから好きな人とかはよくわからないけど、相談とかはのるし、出来る事あれば言ってね。」
智美なりに、私のことを励まそうとしてるのかもしれない。
いつもは励ます側だから、なんだか嬉しいな!
「ありがとうね。」
「いや、うまいこと言えなくて…さややならきっといい事言うんだろうけど。」
「…あ、そのことなんだけど、
さややにはしばらく言わないつもり。智美、うっかり話さないでね。」
「…頑張るよ。」
その後、だいぶ日も傾きかけていたので店を出た。
家に着いたのは、部活が終わってからかなり経った頃だった。