そう言ってそっとほほえむ。寂しそうな笑顔にふと胸がしめつけられる。苦しい‥。

視界がぼやける。
それは、気づいたときには頬を伝っていた。

『泣くなよ、あかり』
温かいお兄ちゃんの胸。
「お兄ちゃ‥」
優しく私の頭をなでた暖かくて大きな手。心がほっとする。

『よしよし』
とても温かいお兄ちゃんの体は、少しだけ震えていた。

私は泣いた。なぜか涙が止まらなかった。
いつの間にかお兄ちゃんも泣いていた。精一杯の笑顔で泣いていた。

(終わり)