お兄ちゃんは笑った。
なぜか胸がしめつけられる。
どうしてお兄ちゃんの笑顔を見ると苦しくなるんだろう‥。

私はお兄ちゃんの本当の笑顔を見たことがないのかもしれない。
仲もいいし話だっていっぱいする。お父さんがいないうちではお兄ちゃんが代わりだった。

明るくて格好良くて、本を読むのが大好きで。私もそんなお兄ちゃんが大好きだった。

「ねえお兄ちゃん」
小さな声で言うとお兄ちゃんはそっと振り向いた。
『どうした』