お気に入りのワンピースを着て、大好きなここに来た。

トイカメラを片手にお気に入りの道を歩く。今日はとってもいい天気。空気が本当においしい。
森の中から見上げる空は綺麗だった。木漏れ日がやさしくふりそそぐ。

カシャ、と小さな音をたててシャッターがきれる。
耳を澄ませば木がゆれる音や小鳥のさえずりが聞こえた。
ちょうどいい大きさの切り株をみつけて腰を落とす。肩のちからがゆっくりとぬけていく。

今見えているこの景色は、いつまでも変わらないでほしいと思った。
目をとじて大きく息を吸う。
そろそろお家に帰ろう。

切り株のすぐ横に花の種をまいた。次来たときには咲いているといいな。

来た道をたどっているうちに、いつのまにか太陽がいなくなっていた。
帰り道に吹いた風は冷たかったけど、こころの中はすごくあたたかかった。

(終わり)

*次のページに、このお話を書いた経緯を少しですが書いています。よろしければ読んでいってください。