ひと夏の思い出

少ししてから野球部の3年の上田[ウエダ]さん
が練習着で教室に入ってきた。


「秋ちゃん、今日は部活来ねぇの?」

野球部の人は私のことを
秋ちゃん と呼ぶ。
それは入部した時から変わらない。

「あっ、今行きます。」
慌てて机の中身を鞄に詰めた。


「これからここでミーティングするけどいい?
もう直ぐみんな来るし。」

「こっここですか?」
「そ」

「何でですか?」
「秋ちゃんの顔を皆見たいって言ってさ。
だったら教室に行こう 見たいな。」

私は何もいえなかった。