―――2003年8月7日



うだるような暑さの中



事件は起こった。



それは他の事件と何ら変わりはないのだが



現場には犯人の書いたものと思われる



1枚のメモ用紙が残されていた。



「何だこれ??」



新人警部、反田 聡(タンダサトシ)が



手袋をはめた手でそれを手に取った。



「おい、指紋か何か残っているかもしれんから大事に扱えよ。」



背後から飛んでくる上司の声。



「分かってますって。」



そう言いながら裏を見る。



『風トンボ』



確かにそう書かれていた。



「かぜ…トンボ??」



「どうした?何か書いてあるのか??」



上司が反田の手から紙を取り上げて覗き込む。